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2013年7月14日日曜日

危険から逃げたのか、背景に何もないから逃げたのか?

 
 hilihiliのhilihili: 似ているようで、この議論、重大な相違点があり、混合されているの続き
 
 あるいは2011.03.16の書き込み、hilihiliのhilihili: 3つの選択肢から、あなたならどれを選ぶ?の続きでもある
 
 
 地下鉄がトンネル内で突然止まり、網棚の荷物が爆発した、ということが分かったとき、乗客の反応は3つに分かれた。
 
 1:その場所から動かない
 2:爆発があったという前の車両から後ろへ移る
 3:車外に出て、線路を歩いて移動する
 
 ∧∧
( ‥)あなたは1を選んだ
    なぜです?
 
  ( ‥)本当にテロをしたいのなら
    ‐□ 客が移動した後ろの車両に
      2番目の爆発物を仕掛ける
      そう思ったからさ。
 
 次に念頭にあったのは、地下鉄はすべてではないが、幾つかの路線では送電線が下にあるという、うろ覚えな知識だった。つまり、何も知らない素人が勝手に歩くのはどうだろう、という懸念。
 
 ∧∧
( ‥)こうして選択肢、2、3は
    断たれた
 
  (‥ )だから動かなかった
      そういうこと。
 
 結果的にいうと話題にもならなかった事件で、爆発音もしなかったからおそらく発煙筒だけだったのだろう。つまりあくまでも皇族の方のイベントに合わせた意思表示であって、テロごっこであって、テロではなかった。ひょっとしたら、人が車外へ出て歩いても大丈夫なことまで計算にいれていたのかもしれない。
 
 ∧∧
( ‥)でも、当時、その時、
    そういう発想はなかった
 
  ( ‥)ラッシュの時刻でも
      ないのに地下鉄が止まる
      前の車両から人がぞろぞろ
      歩いてくる。
      網棚に注意した方が
      いいですよ、と言う
      荷物が爆発した、とも言う
      状況が分からない、
      一人、ひとり、と人が
      後ろへ移っていく
 
 
 あげくに、アナウンスが「みみみみ、皆さん、おおおお、落ち着いてください」ときたもんだ、パニック寸前になるし、地下鉄のトンネルを隣駅まで歩き出す人が出たのも当然なんだろう。
 
 安全確認のため、列車は30分以上、立ち往生した。
 
 ∧∧
( ‥)その後、韓国の地下鉄で
    放火事件が起きて、
    逃げ遅れた人が出た事件を
    見た。
 
  ( ‥)すぐに逃げるのが
    ‐□ よいのか?
       動かないのが良いのか?
       それは状況次第だよ。
 
 そういえばこんな話を読んだことがある。ウサギ狩りだかなんだの話だ。網を山の斜面に仕掛けて、勢子たちが下から追い立てるのだ。逃げ出したウサギたちはかたっぱしから網にかかっていくが、時々、反対に勢子に向かって猛烈な勢いで突っ込んでくるやつがいる。
 
 ∧∧
( ‥)でっ、そういう個体が実は
    生き延びることができる
 
  ( ‥)これは危険の中にこそ
      活路がある、という
      例え話だったよ。
 
 この手の例え話は、それこそいかがわしいビジネス書や自己啓発本に書いてあるような話かもしれないが、一応、いたそうである。天下分け目の合戦は敗北。もはや味方が総崩れとなった時、その人は部下を率いて敵の本陣に突撃。驚く相手が守りを固める中、方向をそらしてその脇を通過して戦場を離脱。母国まで戻った、という話。
 
 ∧∧
( ‥)逃げるのが良いのか
    逃げるにしてもどちらへ
    逃げた方がいいのか?
 
  (‥ )それは状況次第で
      変わっちまうのさね。
      そしてその選択肢は
      当人が責任を負う。
      死ぬか、生きるか、
      損をするか、
      得をするのか。
      まあ、色々だな。
 
 だから例の話。
 
 原発がぱーんした時、そのお母さんは避難するべきと見なされた領域にはいなかった。ずっと遠くにいた。だが逃げた。あちこちへ、幾度も引っ越しをした。
 
 ∧∧
( ‥)そして子供はじんましん。
 
  ( ‥)当時いたよな。
      今もいるだろう。
      逃げれるなら
      逃げるべきです。
      とにかく逃げるべきです
 
 ああ、そうは簡単におっしゃるが、どこへ? なにをしに? 
 
 仕事も仕事をするための機材も会社も畑も牛もここにあるのに、それをどうしろと?
 
 ∧∧
( ‥)でもその人たちは言うでしょう
    そんなことより命が
    大事でしょう、
    それも分からないのですかと。
    これが権力を鵜呑みにして
    会社に従う日本人かと、
    そう嘆くでしょう。
 
  (‥ )ああ、だが、結局のところ
      これは因果関係の
      推論なのだよね。
 
 別に放射線に限った話ではないけど、これこれな量にさらされると、これこれな事がこのぐらいの頻度で起きる。
 
 ∧∧
( ‥)それを計算すると、
    逃げた方が損をする。
    それが分かったとき、
    だったら動かないでおこう。
    そう判断する余地がある。
    というか、他はともかく
    我が家の避難指定はやめて
 
  ( ‥)反対に、同じ条件だのに
      逃げよう、と
      決めた人には、
      これこれは危険だ、
      今すぐ逃げないといけない
      そういう無条件に
      強烈な前提があるのだな。
      量を考慮していないから
      雑なだけだとも言えるが。
 
 問題は、前提は前提自身の正しさをまったく保証しない、という点にある。

 
 ∧∧
( ‥)この前提が正しい、とは
    ”この前提が正しいこと、
    それ自体を前提にした”
    話ですからね
 
  ( ‥)前提が正しいかどうかは
    ‐□ 経験や統計的な処理に
      基づかないと保証されない
      最初の、例のお母さんは
      それが分かっていないの
      だよね。
 
 言い換えてしまうと、お母さんは自分自身の前提が妥当であるのか? それを検証することから逃げたのだ。逃げたから確信できたし、確信できたから逃げたのだろう。
 
 ∧∧
( ‥)逃げにも色々あるのです、と
 
 (‥ )逃げればいいじゃないですか
     気楽に、あるいは真摯に、
     どっちにせよ、そう言う時、
     発言者自身は何を前提にして
     何から逃げたのだろうな?
 
 逃げれる時に逃げれば良いじゃないですか。
 
 ああ、しかしそれは状況による。
 
 そしてその状況の時、お前は何から逃げた? 危険から逃げたのか? それとも自分が信じた前提の背景に実は何にもない、ということから逃げたのか? 
 
 どっちだね?
 
 
 *2013.12.15に追記:以下へ続く
 =>hilihiliのhilihili: 信念とはすっからかん
 
 

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