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2013年4月14日日曜日

美しい村と金管楽器は両立しない

 
 
 朝4:30をまわった頃、公園を散歩していると、つぴー、つぴー、という聞き慣れない声と共に低く、夜空をバックに飛んでいく鳥のシルエットを見た。大きさはハトよりやや小振りだが、紡錘形の体、なんとなくツバメを思わせる鋭い飛翔、どこか寸詰まりな頭が眼に焼き付いた。
 
 
 ∧∧ フクロウ?
( ‥)
 –( ‥)いやあ、ああいう鋭い
      飛び方はしないと
      思うけどもね。
 
 単純にツグミかなんかだったのか。
 
 ぐるっと回って家に帰る頃、暗がりは消えて、森と道は朝焼けの光に照らされていた。
 
 さて
 
 ∧∧
( ‥)以前した話ですけども
 
  ( ‥)あの時は、黒澤明監督の
      「夢」とは言わなかったな
 
 2011年の震災、さらに原発がぱーんした後、「夢」を取り上げたblogを幾つか見たものだ。
 
 ∧∧
(‥ )原発がぱーんした夢
\–   色付きの放射能が見える夢
     最後は打って変わって、
     豊かな水路と水車小屋
     のどかな田園風景を
     練り歩く楽団の夢
 
 (‥ )blogで取り上げた人たちには
     色付き放射能が悪夢だけど
     個人的にはあの最後の夢が
     とてつもない悪夢に
     見えてね、印象的な映画
     であるよね。
 
 水車小屋しか見当たらない寒村で、楽団って。そりゃあねえだろう。
 
 ∧∧
( ‥)金管楽器を使用する。
    明らかに高度に発達した
    工業社会の産物です。
 
  (‥ )寒村でそんなものは
      維持できない。
 
 だから、あれを思い出すたびに連想するのだ。あの、のどかな村の向こうには、高度に発達した機械世界があり、彼らは何かを対価に、そこからそれらを買い付けている。
 
 ∧∧
( ‥)何を対価に買い付けるのか?
    あなたは、村の住民は
    時給500円ぐらいで
    単純労働しているんだろう
    丘の向こう、森の向こうに
    電車があって、そこから
    出勤しているのだ。
    そう思ってますね。
 
  ( ‥)石油が出るわけでも無し
      観光でもないのなら、
      それしかないからな。
      なけなしの金を払って
      払い下げの中古を買って
      いるんじゃねえか?
 
 あるいは政府から補助金が出ているのかもしれない。しかし、何を対価に? 何かを誘致したとかか? あるいは単純に公共事業なのか?
 
 だからあれを思い出すといつも迷う。
 
 あれは、上っ面だけの美しい、ただの夢でしかないのか?
 
 あるいは、とてつもない悪意を込めた演出なのか?
 
 ∧∧
( ‥)あなたはいつも
    どちらだろうと
    迷うのです
 
  (‥ )素材、部品、作成、使用、
      そのどの工程を見ても
      おろそかに出来ない背景と
      基礎が現実にはある。
 
 金管楽器が、ぽつん、と存在する惑星はない。背景には鉱山があり、冶金術があり、物流があり、工場と職人がいて、彼らを維持するもっと広大な農業があり、それらを統治する帝国がなければならない。
 
 ∧∧
( ‥)そしてそもそも楽器は
    音を出すためのものではない
    音を出して、誰かを
    感動させるものだ。
 
  (‥ )つまり帝国には娯楽に
      大金を払う金持ちや
      貴族がいるってことだ。
 
 そうでないと、複雑高度に発達した楽器などありえない。
 
 美しい水車の村は、この条件を満足していない。
 
 美しい村と金管楽器。これが両立するには何か隠されたものが必要だ。
 
 ∧∧
( ‥)ある意味、それを
    ネタばらしすると、
    風の谷のナウシカになると
 
  (‥ )辺境の王国、風の谷って
      ろくなもんじゃねえからな
 
 汚染された土壌で生活し、子供がばたばた死んでいて、人口は減少傾向にあり、加齢に従って体が動かなくなる。
 
 ∧∧
( ‥)基本的な科学・技術体系を
    失い、風車は作れるけど
    発電機を作ることができない
    それでも工業産物を
    扱っていられるのは、実は
    過去の遺跡から掘り出した
    産業文明の残骸を利用して
    いるからだ、という。
 
  (‥ )汚れた文明から逃れるんだ
      といって自由を求めた
      ヒッピーたちが作った村と
      家が、工業社会の廃品を
      利用したものだった、
      そういう過去の話を
      思い出してしまうよねえ。
 
 美しい田園風景の裏に隠されているのは地獄。自力では社会を維持できず、軽蔑するはずの工業社会の廃品を利用しないと存続すらできない、という悪夢のような現実。現在の我々よりもはるかに劣った、哀れで愚かでみじめな共同体。
 
 
  ( ‥)トルメキアなんか
      もっとすばらしいよね
 
 ∧∧
( ‥)ああ、首都が破壊された
    古代産業文明の廃墟に
    寄生してて、王の宮殿だか
    離宮だかも廃ビルに
    くっついてるんですよね
 
 ああいう、現実を前にしてくじけた理想と挫折感って、すばらしいよねえ。
 
 
 

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