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2013年3月12日火曜日

どうも関東ローム層由来でいいらしい

 
 
 hilihiliのhilihili: 黄砂にしては確かに大きいらしいの、さらに続き
 
 
 去る、3月10日*の夕刻。関東、あるいはここ神奈川中部はすっかり煙って、辺り一面が黄色く染まった。丘の上から眺めていると、通りがかりのおっさんが、すごい黄砂だねえ、と驚きの声をかけてくるほどその有様は印象的。3キロ以上先のものが見通せない、ひどい視界。
 
 ∧∧
( ‥)だけども、これは強風で
    舞い上がった土ぼこりで
    あるという気象庁の発表
 
  ( ‥)ああ、そうなの??
    –□ ということで当日、
       水を張ってそこに落ちた
       粒子と赤土を比較して
       みよう、というのが
       今日のお題。
 
 以前、切り通しの崖からもってきた関東ローム層の赤土がもうすっかり乾き切っていたので、指先ですりつぶして水入れにまで風で飛ばして、それを顕微鏡で見る。
 
 *注:関東では火山灰由来とされる関東ローム層という土が表面を覆っている。表面から深さ数十センチまでは有機物とかで黒いが、下は赤く、これがしばしば赤土と呼ばれる。粒子は細かく、長い歳月に風化して粘土化しており、赤土を切った古い切り通しの道は、雨が降るとぬかった粘土のようになるし、転んだりして服が汚れると、なかなか落ちない。
 
 ∧∧
( ‥)どう?
 
  ( ‥)うーん、3月10日に採取
    –□ したものと比べると
       赤土を砕いたものは
       粒子が概して
       細かすぎかなあ。
 
 次に図書館へ資料を探しにいった帰り、図書館近くの畑の土を取り、それも指ですりつぶして水入れまで飛ばして、顕微鏡で見る。
 
 ∧∧
( ‥)どう?
 
 ( ‥)今度は粒が粗すぎ
   –□ 細かいのもあるけど
      大きいものが黒く見えて
      真っ黒のシルエットが
      目立つ。そんな感じ。
 
 
 しかし、実のところ、10日のほこりも、砕いた赤土も、畑の土も、どれも同じと言えば同じなのだ。畑の土は透過光で見ると粒が大きくて(1ミリの数分の1ぐらい)、それゆえに顕微鏡ではシルエットにしか見えないが、明りの調子を変えると。
 
 ∧∧
(‥ )どうやらこれも黄色ですね
 □–  不定形な塊で、
     小さな粒子から出来ていて、
     粒子自体は光を透過している
 
 
  (‥ )3月10日に採取した
      土ぼこりも、
      関東ローム層の赤い部分を
      砕いた物も、
      畑の土を砕いたものも、
      粒子自体はどれも黄色で、
      もしゃっとしている
 
 これらは粘土鉱物だろうか? 非常に小さな粒子が、ちょうどご飯粒をたくさん集めておにぎりにしたような、そんな状態らしい。クリアな面があるわけでもない。つまり、砂で見られるような鉱物の結晶とは違う。
 
 
 ∧∧
(‥ )3月10日の黄砂みたいなのは
 □–  粒がそろっていると見るべき
     ですかね。
 
  (‥ )関東ロームの赤い部分や
      畑の土の表面は、
      どちらも大小様々
      なものが混ざるんだ。
 
 だが3月10日のは違う。十数分の1ミリとか、そんな大きさでそろっている感じ。一応、小さな粒子もあるのだが、砕いたロームや畑の土はこれとは比べものにならないぐらい細かいものが混ざってる。

 *先の書き込み*で書いた、「なんというか、細かい粒子が散在する中に、小さな粒子がわしゃっと集まった塊で大きいのがある、そういう状態。」という表現も、砕いた赤土や畑の土を見た後では、比較すれば細かな粒子は少なく、むしろ中くらいの大きさの粒子、それも十数分の1ミリ程度の大きさにそろった粒子が目立つ。そういう印象に変わる。
 
 
 ∧∧
( ‥)つまり、どうやら
    粒子の大きさが分別されている
 
  (‥ )重いのはとっくに落ちて、
      軽いのは舞っていて、
      どっちでもないのが
      水を張った容器に落下した
      そういうことだろうな
 
 考えてみれば3月10日に水を張った容器を出していた時間は3時過ぎから4時ぐらいまでの間だ。一カ所で、しかも時間も限られていれば粒子の大きさがそろっているのは当然かもしれない。
 
 
 ∧∧
(‥ )あと、3つとも、
 □–  少ないですが透明で
     薄いものが混ざってますね
     大きさは1ミリの十数分の1
     とかそのぐらい
 
  (‥ )スライドグラスとかの
      状況を考えると大きさに
      対してごく薄いものだよね
      斜長石とか火山ガラスとか
      むしろ植物の珪酸体かも。
 
 図書館で「関東ローム その起源と性状」関東ローム研究グループ著 築地書舘 1965 を調べてきたけども、そこに掲載されていた写真や記述、大きさからすると植物珪酸体ではなかろうかと思う。もちろん、要確認事項だけども。
 
 *注:斜長石、火山ガラス、植物珪酸体は、いずれも関東ローム層に含まれる無色の鉱物。植物珪酸体は草本に由来するものらしい。
 
 
 ∧∧
(‥ )黄砂に関する本も図書館に
\–   ありましたが、環境問題や
     砂漠化の話がメインで
     黄砂の組成や鉱物の話は
     特に見当たりませんでした。
 
  (‥ )とはいえだ、日本に届く
      黄砂の大きさが、
      1000分の数ミリだと
      いうのは複数の文献でも
      確認できた。
 
 
 それを考えると、3月10日に関東を覆った黄砂だか煙霧は、水入れに落っこちてきたものを見る限り、1ミリの十数分の1であって、これではやはり大きすぎるということになる。実際、当日、水に浮かぶ粒子や、自動車に落ちた粒子は、肉眼でも粒として確認できたし。
 
 ∧∧
( ‥)つまり、10日のあれは
    中国から来た黄砂ではなく
    関東の畑やローム層から
    強風で飛ばされてきた、
    そう考えるのが妥当。
 
  ( ‥)粒子の粒がそろっている
    –□ ことを抜かせば、
       3つとも黄色で、
       透明な破片が混ざる
       こうした特徴が
       共通するってことは
       そう考えるべき
       なんだろうな。
 
 まあ、どれも一応、プレパラートに保存はしたので、おいおいさらに確かめてみよう。
 
 ∧∧
(‥ )偏光顕微鏡とか、我が家には
□–   ありませんよ?
 
  (‥ )偏光板を使えば
      代用できないかな?
 
 ともあれ、後々の課題である。
 
 ∧∧
( ‥)いずれにせよ、10日の
    土ぼこりはひどいもの
    でしたよね
 
  (‥ )眼や口がじゃりっとするし
      額をぬぐったら黄色い
      しゃりしゃりがとれるし、
      車高の低い車が走ると
      うっすらと煙みたいに
      道から舞い上がるのな。
 
 
 ちなみに、こういう被害自体は一応、昔からあったらしい。先の文献「関東ローム」では著者の一人が東京に出てきた時、春先になると部屋が赤土の土ぼこりでざらざらして、日に何度も掃除した、とか、通産省機械試験場の所員がローム層の巡検に参加した理由が、ロームのほこりが自動車のエンジンをいためるので、それを調べるため、であったとか、そういう話が紹介されている。
 
 ∧∧
(‥ )あの黄色い空は
\–   印象的でしたよ
 
 (‥ )20年以上、神奈川に
     いるけども、あんなのは
     初めてだったからね。
     ネットは一時騒然としたし
     黄砂が関東に届くという
     当日にあんなことが起きて、
     しかも黄砂でなく煙霧だと
     言われたから、
     陰謀論が出てきたり、
     それは当たり前かもな。
 
 
 
 
 

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