自己紹介

イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック

2013年2月3日日曜日

鯨皮を売れ

 
 
 図書館にいき、コンチキ号漂流記に登場した魚がクロタチカマス*であることを確認するついでに、小説「砂の惑星」の記述も確認してきた。
 
 ∧∧
( ‥)ほう? なにゆえ?
 
 ( ‥)以前、ハルコーネン家の
   –□ 復権はギルドが扱わない
      鯨皮でなされた、そういう
      話でまとめたじゃないか
 
 =>hilihiliのhilihili: 情報流通のどこへいこう
 
 確かギルドが扱わない商品、そうだったよな...でも、一応確認。
 
 ∧∧
(‥ )正確にはCHOAM 公社でしたね
\–   アトレイデ公爵の台詞で曰く、
     チョアム公社の手から
     逃れられる産物は、少ない、
     木材、ロバ、馬、牛、肥料、
     鮫、そして鯨皮。
 
 (‥ )そうだったか....
     でもチョアム公社って、
     支配権の半分以上は皇帝が
     握って、ギルドが協力者。
     輸送自体もギルドが
     牛耳っているのだよね。
 
 これはデューン(砂の惑星)という1965年に発表された小説の話。宇宙を舞台にした異国情緒あふれる物語で、この世界では運輸のすべてがただひとつの集団、スペースギルド(宇宙協会)に独占されている。さらに帝国に所属する各王家間の通商は上述の通り、チョアム公社がほぼ独占状態。しかもチョアムのいわば株に相当するものは帝室が半分以上を握っており、有力な諸公がそれに続く。
 
 ∧∧
( ‥)帝国の通貨ソラリの購買力は
  –□ 25年ごと、ギルドと皇帝
     諸公の交渉で決められると
 
 (‥ )ああ、そういう設定あった
     よなあ、これって、
     統制経済だよね?
 
 デューンの世界はいわゆる帝国。1万あまりある国々(単独の惑星、あるいは複数の居住惑星がある星系)からなる世界で、国を治めるそれぞれの王たち、つまり諸公(それぞれ爵位あり)、そして最大の軍事力を持ち皇帝を称する帝室コリノ家、宇宙の運輸をすべて独占して圧倒的な力を持つギルドの3勢力で成り立つ世界。
 
 ∧∧
( ‥)そして国々の間の通商は
    チョアム公社がほぼすべて
    引き受けて、小説の描写から
    すると利益は配当として
    株主的な立場にある
    皇帝家や各世界の王たちに
    支払われるみたいですね
 
  ( ‥)おまけに通商で使われる
    –□ 通貨のレートが交渉で
       決められる。
       民衆は置き去りにされ
       自由経済でもなく、
       あくまでも
       支配者である王達に
       金と富が集まる仕組み
       なのな。
 
 
 ∧∧
( ‥)でっ、ハルコーネン家、
    あるいはハルコンネン家は
    チョアムが扱わない鯨皮を
    商うことで復権を果たしたと
 
  (‥ )日本語版だとデューンは
   □–  4冊にされているけども、
       4巻目の補遺4における
       代表的貴族の抜粋は
       そういう説明だよね。
 
 
 フィクション世界のこととはいえ、ざっと背景を説明すると、天下分け目の戦いというか、諸惑星を統治する王たち、そのすべてに君臨するのは誰か? それを争う大規模な戦争がかつてあった(作中コリンの戦いとされているもの)。勝利者は後に皇帝を称するコリノ家。その時、コリノ側についたアトレイデス家は、ひとりの軍人を追放した。彼は臆病であった、それが理由である。これが後のハルコンネン家。ハルコンネン家は復権するためにずいぶん苦労したらしい。そのせいか由緒正しいアトレイデス家が公爵なのに対して、ハルコンネン家の爵位は格下の男爵。当然、この2つの王家は不和なので、これが作中に描かれる善と悪の戦いになる。
 
 
 *ハルコンネン家の祖先がなにゆえ臆病であったのか? その顛末は作中では具体的な描写がない。作者のハーバートはそれなりな設定があっても、直接描写することがあまりなく、間接的に示すスタイルの人であったらしい(Aを直接説明しないで、BからZまでを懇切丁寧に説明する、と言われるような感じ)。彼が死去した後、息子さんが書いた小説でその様子が描かれたらしいが、ここでは扱わない。
 
 
 ∧∧
(‥ )なんか統制経済の元でさえ
\–   見捨てられている
     マイナー商品の鯨皮で
     復権を果たすってところが
     なんかね、地道ですよね
 
  (‥ )こんな世界で
      のし上がるには
      他に手がないんだろうな
 
 ∧∧
( ‥)それにしても、
    鯨皮って・・・・
 
  (‥ )作者のハーバートはそういう
      奇妙だけど不思議な現実感を
      持った描写をするのが
      うまいよね。
 
 デューンはシリーズになっていて、第一部の主人公の息子で、砂虫と共生関係に入ることでほぼ不死身になった神皇帝の物語が3500年後、神皇帝のプラン通りに人類が以上で述べたような様々な社会的なくびきから解き放たれた最後の物語は、そのさらに1500年後。作中で5000年の歳月が流れる。そしてその5000年後の世界で現れる技術の成果がノーシップ
 
 ∧∧
( ‥)今風に言うと光学迷彩ですね
    完全擬態して予知能力者でも
    感知出来ないような機械
 
  (‥ )ところがあれさ、
      ニンニクの匂いがするん
      だよな。
 
 うろ覚えだが確かそう。空で火花が飛び散るのを見た登場人物が、ニンニクの匂いを感じてノーシップ同士の戦闘が行われていることを知る場面があった(*図書館には最終シリーズの異端者も大聖堂もなかったので未確認であるけども)。
 
 
 ∧∧
( ‥)モーターだって動かすと
    独特の匂いがしますしね
    あれはモーター臭としか
    言い様がない匂いですし
 
 ( ‥)こういう変なリアリティーは
   –□ 訴えかけてくるもの
      あるよね
 
      
       
 
 
 
 

ブログ アーカイブ