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2013年1月19日土曜日

日常オタクではないか? それもおかしい方

 
 
 科学者の言葉を分かりやすく説明しろ
 
 
 ( ‥)こういう言い様には真面目に
   –□ 答える必要はないんだよな
      「ではそれが分からない
      お前の人生を分かりやすく
      説明しろ。そうでないと
      お前向きの説明など出来る
      わけないだろう?
      800文字以内で説明な」
      と言えばいい     
 
 ∧∧
( ‥)まあ、もう少し穏便に
    最初の要求なり、
    ご要望なりを
    言い換えればですよ
 
 ある集団の中で通用する文章を、まったく別の集団で用いられる文章に翻訳できるか?
 
 という問題を解くことと、たぶん、ほぼ等価。
 
 ∧∧
( ‥)例えばですよ、
    宇宙ステーションで育った
    子供相手にですよ
 
  (‥ )夕立があがり赤い日が
      差し込むと、紫にけむる
      東の雨雲に見事な
      虹がかかった
      以上を翻訳せよ。
 

夕立があがり赤い日が差し込むと、紫にけむる東の雨雲に見事な虹がかかった
 
 
 ∧∧
( ‥)相手にとってこの文章は
    専門用語のオンパレードで
    意味不明でしょうね。
 
  (‥ )そもそも東西南北を
      知っているか?
 
 なんか微妙。
 
 ∧∧
(‥ )ステーションにいれば、
\–   地球の自転や自転軸、
     ステーションの軌道の向き
     見かけの動きなど色々な
     知識は知ってそうですが
 
  (‥ )問題はそれが僕らの言う
      東、朝の方角、太陽が
      登る方向、新しいを連想する
      方角と一致するかという
      ことさね。微妙だよな。
      夕暮れだって微妙だよ。
 
 少なくとも、軌道上から見る時、地球の昼夜境界線が赤く染まるのを見ていれば、通過する大気の距離が伸びると太陽光線が(すごい乱暴な言い方だけど)赤くなる、というのは理解しているだろうけども。
 
 ∧∧
( ‥)そもそも夕方の意味が
    分かりますかね?
    確かに軌道上からなら
    見かけ上、大気層から
    登る太陽、沈む太陽を
    見ることはできそうですが
 
  (‥ )地上にいる僕らとは
      ずいぶん違う視界だよな
      空、という言葉も
      よく理解できないだろうね
 
 地上人にとっては空と宇宙はずいぶん違う意味になることを、宇宙ステーションのその子は理解できるだろうか?
 
 雨雲はもっと意味不明だろう。
 
 ∧∧
(‥ )軌道上から雲を見ているなら
\–   分かることは分かるでしょう
     けどねえ。
 
  (‥ )結露を知っているなら
      雲が核を中心に結露した
      ごく小さな水滴で
      出来ていることや
      十分に成長した水滴は
      落下すること、それを
      僕らが雨と呼ぶこと、
      それはを説明できる
      だろうけども、やっかいよね
      表面積と重量、空気抵抗と
      サイズの問題も説明しないと
 
 ∧∧
( ‥)でっ、水滴による分光と
    虹ですよ
 
  (‥ )説明文がものすごく
      長くなる。確実。
 
 太陽に温められると、地球表面から水が水蒸気になり、さらに水蒸気を含む空気が膨張し、浮力を持つので上昇します。上昇した空気は今度は膨張します。地球の大気は下の方が密度が高く、上の方ほど薄いからです。膨張した大気は温度が下がるので、水蒸気は大気中を漂う微細な鉱物粒子などを核として、いわば結露し、ごく小さな水滴になります。これがある程度大きくなって落下したものが雨です。さて、夕立というのは雨の一種で、夏の午後によく発生する気象現象です。まず夏から説明しましょう。地球の自転軸は公転軸に対して傾いていますが、そのため、地球のある一地点から眺めると、太陽の軌道が見かけ上、季節によって南北へ移動するように・・・
 
 ∧∧
( ‥)...もういいですよ、というか
    あなた、雨の説明と夏の説明
    で心が折れたでしょう
 
  (‥ )雨と夏を説明しないと
      夕立は説明できんけど
      ごめん、折れました。
 
 この説明だってはしょりすぎである。宇宙ステーションの子供は地球の大気と宇宙に境目があることは知っているだろうが、なぜ高度が上がると空気を構成する分子の密度が減少するのか不思議に思うだろう。ついでにいうと南北の説明もきちんとしていない。
 
 太陽の軌道もそうだ。地上人にはまだしも、あからさまな天動説的な説明に、宇宙ステーションの子供はめんくらうだろう。
 
 ∧∧
( ‥)地上人の何気ない文章、
    夕立と雨雲にかかる虹も
    専門外の人にとっては
    ちんぷんかんぷん
 
  (‥ )翻訳すれば
      多少分かるようになるけど
      今度は読むだけで苦労する
      長い文章になるわけよな
 
 
 しかもこれ、別に宇宙ステーションなんて大げさな設定でなくてもおよそどこでも起こることなんである。
 
 ∧∧
( ‥)先日、光熱をすべてガスから
    電気に変えて、なおかつ
    お父さんがタバコをすわない
    ご家庭では、火を見たことが
    無い子供がいるという話を
    聞きました
 
  (‥ )見たことないから
       火に触ろうとする、
       というのよな
 
 つまり、今や場合によっては、まず火を説明した上で色々なことを説明する必要があるということだ。
 
 これらのことから明らかなように、私たちが使う日常の言葉でさえ、その背景には膨大な予備的知識や経験がひかえている。説明するとは、それを説明しなければいけないことなのだ。それが通常、求められないのは、全員が同じ経験をしているからである。
 
 ∧∧
(‥ )そういう意味では皆さん、
\–   日常オタクなんだとも
     言えますよね
 
  (‥ )しかも自分たちがオタク
      だとは思ってないわけで
      たちが悪いよな。
 
 オタクはコミュニケーションするのがへた、というのはそれは日常オタクも含めたその領域外の人間から見た話でしかないのかもしれない。
 
 反対に、日常オタク(普通の人)はコミュニケーション能力が高いというのも、それは単なる勘違いかもしれない。
 
 *オタクやマニアと呼ばれる人が、平均以上の執着や集中力を持つことも意思疎通を邪魔する原因になるのだろうが、それだけではないだろう、という意味。
 
 *というか異文化コミュニケーションなんてほとんどの連中がへたくそだよな
 
 
 ∧∧
( ‥)日常オタクは日常以外と
    会話しないし、説明しないから
    自分が実はコミュニケーション
    できないことを知らないだけ?
 
  (‥ )かもしれん。
      さらに付け加えると、
      分かりやすく説明しろよー
      と相手に要求する手合いは
      日常オタクうんぬん以前に
      かなりおかしい奴じゃね?
 
 例えばの話、アメリカ人をとっつかまえて、アメリカのことを分かりやすく説明しろよー、とか、山田さんのところをとっつかまえて、お前のことを分かりやすく説明しろよー、とか普通はいわん。
 
 科学者をとっつかまえて、分かりやすく説明しろよー、と要求する人間も、これと同じ。日常オタクであるのはまあいい。しかし、そこから先の動作がなにか非常におかしい。
 
 ∧∧
( ‥)ここで最初に戻る
 
  ( ‥)分かりやすいを要求する
      これは一体なんだろう?
  
 要求する人間はまず自分自身を説明すべきだ。なぜなら、なにかおかしな点があるかもしれない。というか、むしろ明らかにおかしいのではないか? それに、オレでも分かりやすく説明すべきだと述べているのだ、まず、オレ様自身とやらを説明しなければいけない。なるべく簡潔に、要点を踏まえてね。
 
 
 
 
 
 

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