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2012年12月28日金曜日

ヤブソテツ狂想曲

 
 
 
 ∧∧
( ‥)でっ?
 
   ( ‥)これは前の話の続き*
     –□ なんだが、こっちが
        主眼というかね。
        前の話は以前も書いた
        ことのまとめだしね。
 
 先日、ナガバヤブソテツの写真を撮影していると、妙に元気なばあさんがやってきて、シダは分からないわあ。どれも同じに見えるし。ねえ、これ分かる? と聞いてきた。
 
 ∧∧
( ‥)その時は、ナガバヤブソテツ
    だと分からなかったから、
    ヤブソテツの仲間ですけど
    種類が多くて、、、と
    あなたは答えましたよね
 
   (‥ )ばあさん、やっぱりねえ
       シダは分からないわよね
       そう答えて歩いていった。
 
 その後、歩いて撮影しているとまた会って、その時に撮影しているシダを指差されて、これは何? と聞かれた。その時はベニシダだと分かっていたから、ああこれはベニシダですよ、と答えたが。
 
 ∧∧
( ‥)問題はですよ
    今では公園の濃い緑色の
    ヤブソテツはどうも全部
    ナガバヤブソテツだと*
    分かっていますが。
 
  (‥ )というか、本当に
      ナガバヤブソテツで
      良いのか?
      それが問題なんだよな
 
 オニヤブソテツと見比べないと、究極的には何も言えないのではないか? という疑義。
 
 しかし身の回りにどうもオニヤブソテツが生えていないという問題。
 
 だが、オニヤブソテツの分布を示した図を見ると、いてもおかしくないはず。
 
 実際にいないのか、見ていないのか、そもそも見ているのにナガバだと思い込んでいるのか、どれだ? という解決すべき疑問。
 
 
 
 ∧∧
(‥ )ヤブソテツさんたち、どれも
\–   お互いに似てますからね
     識別に苦慮しますよね
 
  (‥ )種の識別が難しい反面、
      個体変異がでかいの
      だよね。先に撮影した
      ナガバヤブソテツ(仮)は
      葉の縁がスムーズだけど
      切れ込みのある奴、
      羽片が半ばばらけかかった
      ものとか色々あるんだ。
      個々に見るとまるで
      別種に見えるのだけど
      見る数を増やすと、みんな
      ぼやーっと連続してしまう
 
 
 ∧∧
( ‥)トリケラトプスとトロサウルス
    もそういう例なんでしょうね
 
   ( ‥)種ってのはどれもそうだ
     –□ 数が少ない時は自信満々
        に言えたのに、数が
        多くなると、あれれれ?
        になってしまう。
 
 ああ、そういえばダーウィンもそういうこと言っていたよな。
 
 
 
 ∧∧
( ‥)シダはそうしたものの典型
    でしょうね
 
  (‥ )形が比較的単純で
      形質の数が少ないから
      だと思うけど。
      ミゾシダやホシダのように
      属名も種名も変わったり、
      所属する属や科に議論が
      あったりするからね。
 
 ∧∧
( ‥)やはり本ではなく、
    本で分類を理解するでもなく
    自然を見よ、
    分類も本も手がかりにすぎぬ
    ということですか
 
  ( ‥)本はある仮説を通して現実を
    –□ 記述したもので、
       現実そのものじゃない
       しかし理解のための仮説で
       あるがゆえに本は必読だ
       同様に、分類は体系だが
       やはり自然そのものでない
       厳密には仮説ですらない
       図書館に十進法分類が
       あるように、分類の根幹は
       整理整頓だね
       しかし、その図書館でさえ
       本を整理整頓するため
       だけの場所じゃない
       読むためのものなんだ
 
 日常分類の王者である図書館は整理整頓を業務のひとつとするが、それだけではすまない。その根幹はあくまでも見ることにある。そうだというのなら生物の整理整頓体系である生物分類そのものだって同じだろう。それが人為的だろうが系統的だろうが、整理整頓だけでは意味がない。見なければいけない。だが、どういうわけか、分類学を擁護する人でさえ、整理整頓の方をしばしば強調するのである。
 
 ∧∧
( ‥)まあ、それしか系統学と
    差別化できなかったという
    ことかもですけどね
 
 (‥ )そうねえ、同定のテクニック
     それ自体が整理整頓と
     密接に関わっているから
     (*検索表という意味で)
     分類の重要性を強調すれば
     するほど、
     棚の整理という重要だが
     本や科学そのものとは
     関係ない点ばっかり
     あぶり出されるのかもね
 
 しかし、重要だからといって、それだけで終えてしまうのは良いことではないよな。
 
 トリケラトプスとトロサウルスの騒動だってそうなのである。2つが一緒だって? そんな馬鹿な?? ではない、どういう根拠で識別できない、と彼らは言っているのか? それを把握する必要がある。出来もしない理想論(丸々一体恐竜の骨が出ます)というファンタジーではなく、知っているという自己満足だけの知識体系でもなく、識別できない、という現実を見なければいけない。
 
 ところで
 
 ∧∧
(‥ )原色日本羊歯植物図鑑ですと
\–   ナガバヤブソテツと
     オニヤブソテツは区別する
     ほどのことはない、と
     されているのですよね
 
  (‥ )識別が微妙ってことなのな
      それだけですめば、
      同じで良かったのだけどね
      問題はだ、
      ナガバは4倍体で
      オニは3倍体だって
      ことでね
 
 ∧∧
( ‥)...無視できませんね
 
  (‥ )これが現実ってことさね
      今度、時間が出来たら
      胞子見てみるか。
 
 
 *3倍体は減数分裂がうまくいかないが、そのせいか胞子が不均一になるらしい
 
 
 
 
 
        

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