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2012年10月7日日曜日

たぶん、SFすら読んでいない

 
 
 直径10キロの隕石が地球に衝突すると地殻が破れてマグマがごぼごぼ噴き出し、大噴火が起こる!!
 
 そう考える人がいる。
 
 直径10キロの隕石が毎秒10キロメートルの速度で地球に衝突しても、なんでそんな程度のことで恐竜が滅びるの? 
 
 そう疑問に思う人もいる。
 
 恐竜は大きかったから、昔の地球は重力が低かったのじゃないか? もしかしたら地球の自転が今よりものすごく速くて、その遠心力で・・
 
 そう考える人もいる。
 
 ∧∧
( ‥)でっ?
 
  ( ‥)全部ばらばらな方向を
    –□ 向いているように見えて
       物理学軽視という点では
       共通だよね?
 
 マントルは固体(かんらん岩)である、熱いが地殻を剥がされたくらいで溶けるようなものではない。
 
 直径10キロの隕石が毎秒10キロメートルで激突したら、人類が持つすべての核兵器が爆竹に見えるような、とんでもない規模のエネルギーが解放される。毎秒10キロメートルという速度が何を意味するか? それは運動エネルギーの形で熱が運搬されることを意味する。具体的には破砕された岩石が地球の隅々にまで運ばれる。岩石の運動エネルギーは熱へ変換され、すなわち地球全体が焼かれる。
 
 地球の自転速度が赤道で重力を眼に見えて減らすほど速いとしよう。地球は外核を抜かすとすべて固体だが、固体も”流れる”。ゆえに地球は顕著な回転楕円体へ変形する。この膨大な自転のエネルギーをどうやったのかしらないが、どこかへやって、地球の自転速度を遅くしたとする。
 
 ∧∧
( ‥)当然、地球は顕著な
    回転楕円体から、
    球に近づこうと流れ始める
 
  (‥ )つまりでっぱった赤道の
      位置エネルギーが解放される
      わけだよな、どうなると
      思う? たぶん、
      熱になるよね
  
 生物にとって、それはすごいやばい状況じゃねえ? 地球が熱で溶けるか溶けないか、計算した方がいい。
 
 ∧∧
( ‥)物理学の軽視であると
 
 ( ‥)マントルがマグマだと
   –□ 思っている人は
      マグマが対流している
      と聞いて、
      マントルは液体だ
      つまり溶けてる
      そう思うらしいのよ
      これも物理学の軽視よな
 
 これはかなり妙なことでもある。
 
 なぜなら、この手の人は、自転速度を上げても地球が顕著な回転楕円体になるとは思っていないからだ。
 
 つまり、地球が完全な剛体だと思っているのである。
 
 だが溶けて液体であるとも思っている。
 
 変形する液体と完全な剛体。これは矛盾だ。
 
 ひょっとしたら回転する卵も中身が液体である。しかし殻が固いので変形しない、そういう発想なのかもしれない。
 
 この場合、岩石(地殻)が剛体である、という発想と、マントルが流れる=ゆえにマントルは剛体ではなく液体、という発想は根っこが同じだとも言える。
 
 だがしかし、もちろん、実際には岩石は完全な剛体ではなく、しかも”流れる”ので以上の発想は成り立たない。
 
 このように、個々の事柄では納得しているらしいが、突き合わせると知識がばらばらでお互いにうまく一致していないのだ。
 
 
 
 ∧∧
( ‥)逆にいうと
    なぜあなたはそうは
    思わなかったのか?
 
   (‥ )・・・・、子供時代に
       「重力の使命」を読んだ
       からかなあ?
 
 「重力の使命」、原題、[Mission of gravity]
 
 wikiの引用は推奨できないけども、これを見よ=>Mission of Gravity - Wikipedia, the free encyclopedia
 
 ∧∧
( ‥)白鳥座61番星にあるとされた
    惑星メスクリン。
    ガスジャイアントではなく、
    縮退したコアを持つ
    巨大岩石惑星で、表面重力は
    地球の数百倍。
 
  (‥ )数百倍の重力を持つ惑星に
      人類を登場させるために
      作者が使った手が
      自転が速く、
      引力が遠心力で相殺され
      赤道の重力は見かけ上、
      地球の3倍、という設定。
 
 当然、こんな極端な自転速度を持っているので、惑星メスクリンは回転楕円体というよりもパンケーキみたいな形になってしまう。
 
 コリオリの力が強大なので低気圧はばらばらに切り裂かれて小さく、天気が猛烈な勢いで変わるという奇怪な世界。そしてそこにすむ、ムカデとサソリを合体させたような宇宙人、メスクリン人と人類の遭遇を描く。
 
 ∧∧
( ‥)SFも役に立つ、という
    ことですかね?
 
  ( ‥)役立つことは間違いないね
    –□ でも、世間の人の反応を
       見る限りでは
       こういうSFすら
       読んでいないのだろうな
       
 
 すると、SFを科学振興に使う、というのも、いかにもよさげに見えて、無駄か。
 
 ∧∧
(‥ )まあ、普通のSFは超光速で
\–   ニュートン的な宇宙を
     駆け巡り
     相対性理論はガン無視で
     異星の美女と
     恋に落ちるという
     進化論真っ向否定な
     内容ですしね。
 
 (‥ )物語としてはそれで
     良いのだけどね
     科学するなら科学するで
     科学に邁進せねばならん
     ひるがえれば、
     ”考えてしまう人たち”
     これが中途半端なんだよな
     楽しい冒険と科学の
     どちらでもない、
     中途半端な領域で
     物理軽視のまま
     考えて、そして
     トンデモ仮説を量産しとる
 
 
 冒険するなら冒険する、科学するなら科学する。どちらか一方だけにした方が良いのではないか?
 
 
 
 
 
 
 

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