自己紹介

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2012年8月8日水曜日

今日もごそごそ


 
 ∧∧
( ‥)なに?
 
  ( ‥)ほらウエルズの小説
      「タイムマシン」
 
 舞台はイギリス。発明家が自身で建造したタイムマシンで未来にいったところ、はるか未来のイギリスでは貴族階級と労働者階級が別種の生物として分化していた。地下で労働にいそしむかつての労働者階級は、照明が途切れた暗黒に適応し、巨大な目を持ち、今でも惰性で労働し、生産し、しかし新月の晩になると地上に現れ、地上人を時にさらう地下生物になっていた。一方、地上人である人々は、地上に残った貴族たちの子孫。どんな労働もない安楽な環境で天使のように子供のように善良だが無力の存在であり、そしてどちらも、もうさしたる知能は残っていない。
 
 そこで主人公がかつての図書館を見つける場面がある。もう、誰も読まなくなり、読まれなくなってただ朽ち果てるだけの本の山
 
  (‥ )子供の頃、そんな小説を
       読んでさ、大人になって
       ブックオフとかいくと
       あの場面を思い出すのだ
 ∧∧
(‥ )一時、ベストセラーになって
\–   膨大な数が売れて、そして
     持ち込まれる限りない本、
     忘れ去られた書物が集積する
     場所ですから
 
 神保町の古本屋街と違って、厳選するとか、本屋ごとに差別化するとか専門化するとかされていない。それゆにえこそ時に掘り出し物があるが、多くは有象無象の集積。
 
  ( ‥)本はなぜ売れなくなったのか
      という本をブックオフで
      見かけた時のなんともいえぬ
      強烈な感覚は忘れがたい
 ∧∧
( ‥)なんかとりとめもない内容で
    手にしても買う気には
    なれませんでしたよねえ
 
 いや、そんな本を出しているから衰亡するんじゃねえ? そう言った人がいたけども、なんかそれはそうだと思う。
 
 あれで、せめて縦横にデータと統計学を駆使して、意外な、あるいは当たり前な、あるいは玉石混淆なありとあらゆる結論を出力してくれたら、、、と思うけども
 
 
 ∧∧
( ‥)そんなこと出来る人間が
    出版界に就職するわけ
    ないでしょうに
    *注:以上の本は出版界の
    人間が書いたものだった
 
  (‥ )研究者になっているよね
      仮に存在するなら、
      最高学府を出てるよな

 そんなブックオフでも、おおーと感じる場所がある
 
 ∧∧
( ‥)どこです?
 
  ( ‥)ラノベの場所
 
 並んだありとあらゆる、見た事も聞いたことも読んだ事もない、なぜか似たような外見の統一的なタイトルがずらーりと並ぶ、あの一体感。
 
 ∧∧
( ‥)確かに、新書も統一的ですけど
    新書以上に出版社の垣根を
    越えた統一感ありますよね
 
  (‥ )なんかね、書棚をこんこんと
      手で叩いて感触を確かめて
      しまうのよ
 
 もしやこれは受肉し、現世に顕現した個物ではないのか? という感慨
 
 ∧∧
( ‥)個物ね
 
  ( ‥)tumblrでもこんな言い様が
      あったよな、僕らのしている
      ことは全部他からの引用で
      それの寄せ集めだと
 
 しかり。確かに何かまれなことが起きてオリジナルが付け加わることはある。だがそれも新しい既存の要素として無数のコピーの渦に巻き込まれ、あるいは数を増やして定着し、あるいは埋もれて消えていく。そもそもすべての引用も最初はそうしてこの世に誕生してきたものだ。
 
 ∧∧
( ‥)肉体を維持する無数の遺伝子も
    考えを支える無数のアイデアも
    人間の肉体も心も知識も
    無数の個々のものの集合ですから
    
  ( ‥)僕らは系譜の寄り集まり
      なのだ。個々の個人に遺伝子と
      アイデアが一時集合するが
      それは無数の子孫を振りまいて
      雲散霧消する運命だ
      個人というのはそういう
      意味では実在していないのだ
 
 しかし、渦巻く系譜は確かにそこにある。そして生物にも色々な大きな目立つ系統があるように、考えや小説や物語にも色々と目立つ系譜と流れがある
 
 ∧∧
( ‥)ああ、あなたにはラノベが巨大な
    柱に見えるのね
 
 (‥ )まっ、見た目の統一感に
     かもされたイメージでしか
     ないのかもしれんけどね
     実際、あの中にはありとあらゆる
     アイデア、試み、模倣、挑戦
     失敗、個性が渦巻いている。
     だけど、あの強烈な柱のような
     イメージは新鮮でな
 
 ∧∧
( ‥)しかし、あなたは別のジャンルに
     いるのですよ
 
  ( ‥)そして今日もごそごそ
    –□ 次なる綿毛作成のために
       作業中です
 
 
 
 
 

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